第69期王座戦五番勝負第2局。木村一基vs永瀬拓矢

開始日時:2021/09/15 09:00
終了日時:2021/09/15 20:12
表題:第69期王座戦五番勝負第2局
棋戦:王座戦
戦型:相掛かり
持ち時間:5時間
消費時間:100▲300△290
場所:愛知県蒲郡市「西浦温泉 旬景浪漫 銀波荘」
備考:昼休前39手目▲122分△67分\n夕休前64手目▲236分△222分\n
先手:木村一基九段
後手:永瀬拓矢王座

*永瀬拓矢王座に木村一基九段が挑戦する第69期王座戦五番勝負。開幕局は木村がギリギリの勝負を制した。この勢いのまま王座奪取に迫るのか、それとも永瀬が流れを変えて五分の星に戻すのか。
*第2局は9月15日(水)、愛知県蒲郡市「西浦温泉 旬景浪漫 銀波荘」で行われる。持ち時間は各5時間(チェスクロック使用、切れたら1手60秒未満の着手)。木村が先手番。対局開始は9時。昼食休憩は12時10分から13時。夕食休憩は17時30分から18時。
*立会人は福崎文吾九段、日本経済新聞観戦記の解説は西田拓也五段、執筆は若島正さん、記録係は柵木幹太三段(増田裕司六段門下)がそれぞれ務める。
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*【主催:日本経済新聞社】
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*【特別協賛:東海東京証券株式会社】
▲2六歩
*8時20分頃、立会人の福崎九段と記録係の柵木三段が対局室「観月」に入っている。8時34分、対局開始を見届けるために関係者たちが入室すると「楽にしていてください」と福崎九段が声を掛けた。まだ対局者がいない時間帯、比較的和やかな雰囲気だ。
*8時43分、スーツを着用した永瀬が上座に着いた。すぐに中腰になり、座布団の位置を少し整えてから再度着座。以降は背筋を伸ばしたまま挑戦者の到着を待つ。対局室内の緊張感は見るからに増している。8時45分、木村は和服姿で登場。ゆっくりと時間を掛けて下座に着いた。
*両者が出そろって少しの間を置いてから永瀬が頭を下げ始め、すぐに木村も応じて深々と一礼。駒箱が開かれた。永瀬は駒音をほとんど鳴らさずに、一方の木村はバチンと力を込めて並べているのが対照的だ。8時50分に駒を並べ終えると、室内には静寂の時間が流れる。ともにほとんど動かず集中力を高めている。
*定刻の9時になり、対局が始まった。注目の初手は▲2六歩。
*
△8四歩
*対局開始前、本局の戦型予想について以下の4名に尋ねてみた。相掛かりと矢倉を予想している。
*「永瀬先生は後手番だと2手目△8四歩がほとんどで、先手が戦型を選べます。最近の木村先生の傾向を考えると、相掛かりではないかと予想します」(西田五段)
*「相掛かりを予想します。木村先生が先手番ならばそのイメージです。それを永瀬先生が受けるかどうかで、雁木調になる可能性もあると思います」(柵木三段)
*「第1局は角換わりでした。次は木村先生が先手番ですし、相掛かりかなという予想ですね」(若島さん)
*「(そういうことならと前置きして、)なら私は矢倉と予想しようかな。▲7六歩△8四歩▲6八銀の出だしで、先手は2筋の歩を早めに伸ばす形です」(日本将棋連盟専務理事の脇謙二九段)
▲2五歩
*本局は各メディアで生中継が行われる。詳細は以下のとおり。
*
*【Paravi】
*日 時:9月15日(水) 開始17時
*解 説:飯島栄治八段
*聞き手:竹部さゆり女流四段
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*【ABEMA】
*日 時:9月15日(水) 開始8時30分
*解 説:三浦弘行九段、佐藤紳哉七段、青嶋未来六段
*聞き手:飯野愛女流初段、里見咲紀女流初段
*マルチアングル放送
*出演者:都成竜馬七段、佐々木大地五段、脇田菜々子女流初段
△8五歩
*初手から互いに飛車先の歩を伸ばし合う。大方の予想どおり、相掛かりの出だしとなった。
*以下▲7八金△3二金に、(1)▲3八銀△7二銀とするのが近年の主流だ。2016年あたりから採用率が上がってきた変化で、前例は1000局以上指されている(ちなみにデータベースに登録されている範囲だと、2015年までにはわずか15局しか指されていない)。それまでは、手順中に(2)▲2四歩△同歩▲同飛と飛車先の歩を交換する順を選ぶことが圧倒的に多かった。こちらの前例は8000局以上。
▲7八金
*◆木村 一基(きむら かずき)九段◆
*1973年6月23日生まれの48歳。千葉県四街道市出身。(故)佐瀬勇次名誉九段門下。
*1985年、6級で奨励会入会。1997年、四段昇段(プロ入り)。2017年、九段昇段。棋士番号は222。
*タイトル戦登場は9回。獲得は王位1期。棋戦優勝は2回。
△3二金
*◆永瀬 拓矢(ながせ たくや)王座◆
*1992年9月5日生まれの29歳。神奈川県横浜市出身。安恵照剛八段門下。
*2004年、6級で奨励会入会。2009年、四段昇段(プロ入り)。2020年、九段昇段。棋士番号は276。
*タイトル戦登場は8回。獲得は王座2期、叡王1期の計3期。棋戦優勝は2回。
▲3八銀
*木村の今年度成績は15勝8敗(0.652)。
*通算成績は694勝411敗(0.628)。
△7二銀
*永瀬の今年度成績は11勝9敗(0.550)。
*通算成績は405勝166敗(0.709)。
▲9六歩
*木村の直近10局の成績は7勝3敗(右が最新:○○○●○●○○○●)。
△5二玉
*永瀬の直近10局の成績は5勝5敗(右が最新:○○○●○●●○●●)。
▲6八玉
*「木村先生は6八玉型を好まれている印象です」(西田五段)
*前例は12局で▲6勝△6勝(持将棋1)。指され始めた頃は後手が連勝していたが、近年は先手のほうが勝ち越している。
△1四歩
*6手目の着手あたりから関係者たちが退室を始め、立会人の福崎九段もいまは控室にいる。「始まってみれば早いね」とひと言。また戦型予想は矢倉か相掛かりだったとのこと。
▲3六歩
*木村の王座戦成績は40勝25敗。第56期にも五番勝負を経験している。今期は挑戦者決定トーナメントからの出場で、澤田真吾七段、高崎一生七段、石井健太郎六段、佐藤康光九段に勝って自身2度目となる王座挑戦者に。
△8六歩
*永瀬の王座戦成績は30勝11敗。その間に千日手も5局あった。第67期五番勝負に3勝0敗のストレートで王座を奪取し、第68期はフルセットの末に初防衛。
▲同 歩
*両者の対戦成績は永瀬の3勝4敗(右が最新、千日手2:千●○●千○○●●)。
*戦型は、初手合いのみ対抗形で永瀬が中飛車を採用。それ以降はすべて相居飛車が指され、角換わり、相掛かり、矢倉、横歩取りと多岐にわたっていた。
△同 飛
*本シリーズ開幕局が、両者の直近の対戦だった。角換わりの相下段飛車で、先手番だった永瀬が桂損ながら先攻できる展開に。木村はその攻めをひとしきり受け続け、終盤入りのタイミングで強く反撃。最後は永瀬勝ちの筋もあったとされたが、ギリギリの攻防で白星をつかみ取ったのは木村だった。
▲3七桂
*直前まで3局の前例があったが、この桂跳ねですべて離れた。代えて▲7六歩が指されていた。
△7四歩
*前日の検分は、定刻の18時よりも10分ほど早くに開始。立会人の福崎九段が積極的に声掛けをして、駒の具合、座布団の座り心地、室温、湿度、などを確認。対局室の明るさについて、永瀬は「ちょうどよい」、木村は「これで結構です」と応じた。すべて滞りなく確認を終え、17時55分に検分は終了した。
▲2四歩
*対局地である愛知県蒲郡市は、県の南側に位置している。波静かな三河湾に面した海辺の街で、西浦温泉、三谷温泉、形原温泉、蒲郡温泉を有した県内屈指の観光都市となっている。
*蒲郡市の名物グルメは、蒲郡温室みかん、深海魚などの地魚を使った海鮮料理。また愛知県は、味噌かつ、手羽先、あんかけスパゲッティをはじめとした、味の濃厚さが最大の特徴である通称「名古屋めし」でも有名。
△同 歩
*対局場である銀波荘は、西浦半島の先端に位置する老舗旅館。1955年、開業。複数の浴場を有し、最上階にあるふたつの露天風呂からは雄大な三河湾の景色が望める。新鮮な地魚料理や、おもてなしの心配りなど、和の素晴らしさを再認識できる。
*過去に数多の将棋タイトル戦が行われてきた「将棋の宿」としても知られている。初めて開催されたのは1966年の第15期王将戦七番勝負第4局、当時五冠を保持していた大山康晴王将に、山田道美八段が挑戦するシリーズだった(それぞれ肩書は当時)。館内には「THE 将棋 ROAD」というギャラリーが設けられている。
▲同 飛
*【木村九段得意の相掛かりに 将棋王座戦第2局|日本経済新聞】
△8四飛
*手順に7四歩にヒモをつける。相居飛車の常套手段のひとつ。
▲7六歩
*8筋を堅く受けるならば代えて▲8七歩だが、本譜は1歩を温存。ここで△8六歩には▲6六角が飛車当たりになるため、△8七歩成は間に合わない。
△2三歩
*飛車の引き場所を尋ねる。現代調ならば(1)▲2九飛だが、(2)▲2六飛や(3)▲2五飛も自然だろう。
▲2五飛
*積極策を採りやすい飛車の引き方。つまり(1)▲8五歩で飛車を追うことが可能となり、また7三桂型になれば(2)▲7五歩の桂頭攻めもしやすくなる。一方でこの2五飛の当たりもきつくなる。
△6四歩
*対局開始から20分経過。脇九段から「もうここまで進んだのですか、早いなー」と声が上がる。両対局者が準備してきたとおりに進んでいるのだろう。
*「チェスクロックで5時間の持ち時間だから。ストップウォッチと比べて1時間ぐらい体感で違いますよね」(福崎九段)
*
*9時35分、木村が15分以上の熟考中。控室では福崎九段と西田五段が継ぎ盤を囲んでいる。以下▲1六歩△7三桂▲1五歩△同歩▲1四歩△3四歩▲1五飛が並べられ、そこで西田五段が△6五桂を示す。続く▲8七歩には△8六歩と合わせるようだ。
*「▲8六同歩△同飛▲8七歩△7六飛とされると不気味やなぁ」(福崎九段)
▲1六歩
*21分の考慮。
*前述のとおり、見た目以上に価値が高い可能性のある端歩突き。次は▲1五歩△同歩に▲1四歩と垂らすのが狙いで、もし△同香ならば▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲1四飛で端香を取り払える。
*「端歩は第一感でしたね。ここは後手も考えるでしょう」(福崎九段)
*
*控室には9時45分、ABEMAのマルチアングル放送に出演するために訪れた都成竜馬七段と佐々木大地五段が立ち寄っている。棋士や関係者にあいさつをしたあと退室した。
△6二金
*10時頃、28手目△6二金までの消費時間は▲木村36分、△永瀬19分。
*
*16分の少考。
*玉頭を厚くして陣形を整えた金上がり。後に△6三銀~△7三桂~△8一飛となれば好形だ。
*「本譜の金上がりは、後手玉の安定を最優先に考えた手ですね。代えて△7三桂も攻め味があるので自然でしたけど、例えば▲8五歩△8一飛▲7五歩といった桂頭攻めが生じるかもしれません。また▲1五歩△同歩▲1四歩の攻めが見えるところでもありますが、それは問題ないという経験則があるのかもしれません」(西田五段)
▲1五歩
*24分の考慮。
*「いきましたね」(西田五段)
*「やっぱり。攻めるところですよね」(福崎九段、脇九段)
*
*本局の観戦記を務める若島さんは、対局室で進行を見届け続けている。京都大学名誉教授であり、また詰将棋作家としても名高い。看寿賞10回をはじめとする詰将棋の各種賞を受賞。2014年には第11回詰将棋解答選手権チャンピオン戦で優勝するなど、解く側の競技者としてもトップクラスだ。
△同 歩
*端歩突きを放置すると、▲1四歩と取り込まれて先手が歩得となり、さらに端攻めの勢いも増す。いったんは相手をするよりないところだ。
▲1三歩
*こちらから。控室では主に▲1四歩が調べられていた。本譜の場合は以下△1三同香に、(1)▲1四歩△同香▲1五香で香交換を狙う、(2)▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩に▲6四飛と歩を補充する、(3)▲1五香△1四歩▲同香△同香に▲1五歩で香を取り返す、の3パターンが考えられる。
*「代えて▲1四歩ならば収まりましたけど、これだともうのっぴきならないですよ。△1三同香に対して先手の攻めはどれもうまくいく感じに思えませんでしたけど、しっかり時間を使っての着手でしたから、木村さんには何か狙いがあるのでしょう」(脇九段)
△7三桂
*25分の熟考だった。
*なんと永瀬は端攻めの相手をしなかった。「代えて△1三同香でも、先手はどう指すかよく分からないといわれていましたが」と控室の面々。
*ここで(1)▲1五香△1三香▲1四歩△同香▲同香△1三歩▲2九飛△1四歩▲2五香△8五香となれば、いきなりの攻め合いに発展。(2)▲1五飛△1四歩▲4五飛に(A)△1三香ならば▲2五桂、(B)△1三桂ならば▲1五歩△同歩▲1四歩、とそれぞれ先手の追撃が利く。
▲1五香
*11時頃、33手目▲1五香までの消費時間は▲木村1時間8分、△永瀬45分。
*
*「飛車もあったけど香を走ったか。分かりやすく。将棋はなるべくね」(福崎九段)
*次は▲1二歩成が厳しいため、後手はこの端攻めをいよいよ無視できない。進行の一例は△1三香▲1四歩△同香▲同香△1三歩で、後手が香を取り返しにいってどうか。継ぎ盤では以下▲2九飛~▲2五香と△8五香で、互いにロケットを構え合うと見られていた。
△1四歩
*20分の考慮。
*控室で代えて△1三香▲1四歩△同香▲同香△1三歩▲2九飛△1四歩▲2五香△8五香▲2三香成△同金▲同飛成△8八香成▲同銀△8七歩▲同銀△8八歩に▲3二香△4一角という応酬が調べられていたところ、盤面モニターに△1四歩が映し出された。香を打ち合う変化を永瀬が避けた、ということだろう。
*
*※局後の感想※
*代えて△1三香▲1四歩△同香▲同香△1三歩▲2九飛△1四歩▲2八香△8六歩▲6六角△8一飛は「これでどうなっているのか分からなかった」と永瀬。選びたい変化はこちらだったという。以下▲8八歩△2四香▲同香△同歩▲同飛が一例だが、本譜と比べて後手の持ち歩の枚数が少ない点が気になり、本譜が採用された。
▲同 香
*これで△1三香に対して▲1四歩と打つスペースがなくなった。
△1三香
*▲1三同香成に(1)△1三同桂ならば2五飛に当たるが、いずれ▲1四歩で桂を取られてしまいそうだ。そのため継ぎ盤では(2)△1三同角▲8七歩△8一飛▲6六角△6五桂が調べられている。以下(A)▲1九香△2四角▲1二香成△5四香▲3五歩の展開は、後手の下段飛車が受けによく利くため難解。(B)▲4八金で中央をシンプルに受けるのは、△7五歩で細かく攻めが続くようだ。
*「香をどう使うかがポイントの将棋になりました」(福崎九段)
*「振り飛車党なので、香の価値がこれほど高いことはあまりないんですよね」(西田五段)
▲同香成
*20分の考慮。
*代わる手も難しそうだったが、木村はじっくりと時間を掛けてから香交換に応じた。
△同 角
*やはり角で取る。先手陣の弱点である5七地点をにらみ、うまくやれば△6五桂の応援で一気に攻め込める。昼食休憩の定刻が近づいてきた。木村が30分以上の熟考に沈んでいる。
*「木村先生が積極的に攻めていって戦いが始まりました。ただ、局面は永瀬先生のほうが攻勢になっていきそうです。木村先生は受けに回ることになりますが、それは得意にしている展開ともいえます」(西田五段)
*
*時刻は12時10分。この局面で昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲木村2時間2分、△永瀬1時間7分。昼食の注文は永瀬が「ステーキ丼セット」と「シャインマスカット大福」と「蒲郡みかんとパインシャーベットのフルーツパフェ」と「アイスコーヒー」と「ホットコーヒー」、木村が「うな丼」。対局は13時に再開する。
▲8五歩
*対局再開の一着。昼食休憩前と合わせて35分の考慮だった。
*
*※局後の感想※
*代えて▲8七歩△8一飛▲6六角△6三銀▲1五飛△6五桂は一局。
*「これはこれで、という感じですかね。あるとは思っていました」(木村)
△8一飛
*「代えて△8五同飛▲同飛△同桂だと、手番が先手に渡ることと、6五に跳びたいはずの桂が8五にいきます」(西田五段)
▲7七桂
*「強い受け方ですが、先手は角を使いにくくなりました。将来的に9七に出て使うのでしょうか。対する後手は△3四歩と突けるようになりました。具体的には(1)△2四角~△3四歩~△3三桂と駒を活用できます。2五飛を引かせれば△8五桂が生じます。ほかには(2)△6三銀と上がってから△7五歩▲同飛△7四香▲2五飛に△7六香という攻めもありますね。(3)△8六香も見えますが、それは▲8七香△同香成▲同金で7筋の桂頭が厚くなるので、先手にとってそれほど悔しい形でもありません」(西田五段)
*6八玉型だと7九銀の活用が悩ましいが、かといって5八玉型だと本譜のような進行にはならない可能性がある。6八玉のメリットを挙げれば、7八金にヒモがつくことや、右辺から反動がきたときに玉が遠いこと。いろんな要素を考えると、6八玉型と5八玉型は一長一短といえる。
△6三銀
*21分の考慮。
*先手はしばらく相手の攻めに備える、チャンスがあれば1三角を目標にして攻めを作る、という展開になりそうだ。そういう意味では(1)▲5八玉が自然だろう。前述のような△7五歩以下の攻めを緩和し、また後に▲6八銀で先手陣の駒を活用できる。
*「(2)▲9七角で7筋の攻めに備えるのは△9四歩のときにどうするか。すぐに攻めを作るならば(3)▲1二歩ですが、後手の攻めを引っぱり込むような手です。(1)▲5八玉が自然かなとは思います」(西田五段)
▲9七角
*角を8八地点に置いたままでは攻めにも守りにも使えない。本譜は△7五歩の攻めを緩和した角上がりだ。ただし以下△9四歩に対して、(1)▲8六角だと相手の攻めに近づき、(2)▲8七金だとやや形が乱れるようにも見える。
△7五歩
*永瀬は構わずに7筋から動いていった。飛車と角のどちらで取っても△7四香と打つのだろう。継ぎ盤には▲7五同角△7四香▲8四角△7六香▲1四歩△2四角▲同飛△同歩▲9五角打△7二歩▲7五香が並べられたが、△9四歩で攻めを催促すれば後手がやれるようだ。そのため、手順中に▲8四角と出たところは引いたほうがよいかもしれない。
*
*※局後の感想※
*「楽しみは永瀬さんのほうが多いかなと」(木村)
▲同 角 △7四香
*間髪いれずに香を設置。7五角が逃げたところで△7六香と走れば、先手玉付近で戦いが始まる。7七桂がいなくなれば△6五桂と跳ねやすくなり、そうすると1三角と連係して先手陣の弱点に攻めが集まる。
*具体的には、以下▲8四角△7六香の局面で後手に手番が回れば、△7七香成~△6五桂打~△8五桂で一気に先手陣に攻め込める。
▲8六角
*14分の少考。
*守り重視の対応。△7六香と走られたときに7七地点の守りに利いている。ただし8四角型とは違って、攻めに活用するのは難しい位置といえそうだ。
△7六香
*※局後の感想※
*本局の要所のひとつ。代えて△7五歩がまさった。以下(1)▲1四歩には角取りを手抜きして△7六歩。(2)▲7五同歩は△7六歩▲8四香△7七歩成▲同金△6五桂打で後手ペース。
*「あれ、悪いかもしれません。そちらは味がよいですしね、そうか」(木村)
*「もっと考えるべきところでした。本譜は次の▲6六歩で、手がまったく分からなくなりました。バランスの取り方が分からない」(永瀬)
▲6六歩
*14時頃、49手目▲6六歩までの消費時間は▲木村2時間31分、△永瀬1時間35分。
*
*△7七香成~△6五桂という筋を防いだ歩突き。玉頭にスペースはできるものの、7八金がカバーしているため弱点とはなりにくい。
*現局面で、継ぎ盤では主に(1)△2四角が調べられていた。次に△3四歩~△3三桂とするのが狙いだ。福崎九段は(2)△4二銀を候補として挙げている。将来的に後手玉が追われたとき、左辺に逃げ道があるとないとでは耐久力に大きな差が生じる。
△7七香成
*31分の考慮。
*代えて(1)△2四角や(2)△4二銀で後手陣を整えるのは、何か気になる反発があったという判断か。永瀬は44手目△7五歩から攻め続けている。
▲同 金 △8五飛
*15時頃、52手目△8五飛までの消費時間は▲木村2時間36分、△永瀬2時間7分。
*
*なんと飛車から踏み込んだ。少し前の局面とは違い、7七金型のため(1)▲8五同飛には△同桂が金に当たる仕組み。ただし先手も、△2五飛には▲同桂で1三角に当たる。そう考えると飛車を取ったほうが結果的に後手を引くため、木村としては何か手渡しをしたいところ。一例として、(2)▲5六香には△4四桂が気になるため指しにくいか。
*「(3)▲8七歩として、△7四桂を緩和するのが一例です。(4)▲7四歩△同銀の2手を入れて△7四桂の筋を消すことも考えます。(5)▲5八玉だと、そこで△7四桂が気になりますね」(西田五段)
*継ぎ盤検討に福崎九段が加わり、(4)▲7四歩△同銀▲7五歩△6三銀▲7六香△5六桂▲6七玉△7八歩▲8八銀△8六飛▲同金△6八角が調べられた。部分的には後手の技が決まっているようだが、以下▲3五歩△8六角成▲5六歩で際どい勝負。これも後手が押し切るか、先手がしのぐかの展開である。
*
*15時、おやつが用意された。注文は永瀬が「シャインマスカット大福」と「アイスコーヒー」と「ホットコーヒー」、木村が「半熟ショコラとバニラアイス」と「アップルジュース」。ドリンク類は対局室に、そのほかは対局者用控室にそれぞれ運ばれる。
▲7四歩
*37分の考慮。
*「勝負どころで、このやりとりで形勢に差がつくと思います」(福崎九段)
*△7四同銀に対して先手の応手はいろいろと示されていたが、西田五段は新たに(1)▲4六香を候補に挙げた。1三角のラインを閉ざす一着だ。(2)▲7五歩△6三銀▲7六香で7筋に力をためると、前述のように△5六桂から後手がギアチェンジする。
△同 銀
*14分の少考。
*ここで(1)▲7六香だと、以下△7五歩▲同香△同銀▲同飛△同飛▲同角に△7四香が厳しい。そのため(2)▲7五歩のあと後手に攻めの主導権を渡してしのぐか、(3)▲4六香と守り重視で立ち回るか。
▲7五歩
*16時頃、55手目▲7五歩までの消費時間は▲木村3時間20分、△永瀬2時間21分。
*
*互いの飛車の横利きを閉ざしつつ、7筋に攻めの拠点を作る。ただし手数を掛けていると前述のように△5六桂と△7八歩の連係プレーで先手陣が崩れてしまうため、木村は素早く攻めるか、またはいったん受けに回るかが必要となりそうだ。後者であれば、一例として▲8七歩が挙げられる。不満なのは歩切れになることだが、後に▲7六香~▲7四歩さえ間に合えばよい。
*
*時刻は16時を回り、永瀬が25分以上の熟考に沈んでいる。
*「ここですぐに指さないということは、もしかしたら△6五桂打を考えているのかもしれませんね。以下▲同歩△同桂の局面は簡単には受からない形です」(西田五段)
*ただしそこで▲6九桂が粘り強い一着で、(1)△7七桂成▲同角△8九飛成▲7四歩と進むと、先手が先に駒得をして、さらに後手からあとひと押しが見当たらないという。この変化はわずかに先手が指しやすい。戻って(2)△7五銀だと難解。
△6三銀
*39分の長考だった。
*本譜か、代えて△6五桂打か、その2択だろうと控室ではいわれていた。この銀引きは△5六桂▲6七玉△7八歩▲8八銀△8六飛▲同金△6八角▲3五歩△8六角成という猛攻を狙いすましたもの。もし現局面で先手が▲7六香と力をためた場合、その香も標的になる。
▲8七香
*7筋ではなく、木村は8筋から強く反発するようだ。次に▲9五角と出れば8五飛は助からない。継ぎ盤でも調べられていた手だが、代えて▲8八香のほうが得ではないかと見られていた。展開によっては後手が8筋に歩を連打することも考えられ、そのとき▲8八香のほうが1枚多く使うことになる。
*進行の一例は△8一飛▲7四歩△同銀▲7六香に、△7五歩▲同香△6五桂打▲同歩△同桂と切り返してどうか。「これでは先手が自信ないかな」と福崎九段。西田五段も「この瞬間は先手も怖いですね」と同調した。以下▲6九桂で難解。
*
*※局後の感想※
*代えて▲8八香には、以下△7八歩▲同銀を利かされて打った香が浮く。
△8一飛
*「ねじり合いが続く中盤戦でしたが、いまはいったん永瀬先生の攻めが止まりました。木村先生は攻めるか陣形を整えるかの分岐点で、後者ならば▲5八玉が一例ですね。左辺の戦地から遠ざかり、1三角のラインも避けています。後手は持ち歩の多さを主張にして、受けに回ることも考えられます」(西田五段)
▲1四歩
*17時頃、59手目▲1四歩までの消費時間は▲木村3時間34分、△永瀬3時間16分。
*
*木村は歩切れを受け入れて手を作る。△2四角と上がらせれば、いつでも質駒として角を入手可能になる。
*17時を回り、前述のとおりParavi(パラビ)で大盤解説会が始まった。
△2四角
*7分の少考。
*5七地点に利きを残す。いずれ△6五桂打が攻めになるように。
▲9五角
*13分の少考。
*8七香で8一飛をにらみ、また動いた角も後手陣を攻めるのに役立つ。継ぎ盤周りでは「2四角が質駒になっているため、少し前の検討とはだいぶ変わってくる」との声。例えば以下△8六歩▲同香△8五歩▲8四香△8三桂▲8二歩△同飛のとき、▲2四飛△同歩▲7一角といった筋が生じている。
△7六歩
*手筋の歩のたたき。(1)▲7六同金は△8七飛成で後手よし。(2)▲8一香成は、△7七歩成から後手の猛攻が始まるため避けたいところ。となれば後手の注文どおりにはなるが(3)▲7八金が考えられる。
▲7八金
*すぐに何かがあるわけではないだろうが、後手の攻めの拠点ができた。木村はこれを甘受する代わりに、8筋の逆襲を何としても成功させたいだろう。
*
*時刻は17時30分。この局面で夕食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲木村3時間56分、△永瀬3時間42分(持ち時間各5時間、チェスクロック使用、切れたら1手60秒未満の着手)。夕食の注文は永瀬が「天ざるそば」と「アイスコーヒー」、木村が「ざるそば」と「アイスコーヒー」。ドリンク類は対局室に運ばれる。対局は18時に再開する。
△8五桂打
*対局再開の一着。
*62手目△7六歩の垂らしを入れずに△8五桂打としても、▲6七金で特に効果はない。拠点を作ってからそこに攻め駒を集めれば、次の△7七歩成が厳しくなる。
*
*※局後の感想※
*「これじゃあ負けにしたかと思ったね」(木村)
*「いやー、全然分からなかったです」(永瀬)
▲同 香 △同 桂
*「(1)▲7四桂か(2)▲5五桂か。いずれにしても終盤戦です」(西田五段)
▲5五桂
*継ぎ盤を都成七段、佐々木大五段、西田五段が囲んでいる。現局面は際どい展開のようだ。進行の一例は△7七歩成▲5八玉△7三歩▲6三桂成△同玉▲7四歩△7八と▲7三歩成△同金▲同角成△同玉▲7四歩△6二玉で、先手には2四角の質駒があるものの、それでも攻め合いで後手がまさるとのこと。ただし途中で▲6五歩を入れるか否かなど分岐も多い。
△7七歩成 ▲5八玉 △5四銀
*継ぎ盤では以下▲6三香△7二金▲2四飛△同歩▲6一角△同飛▲同香成が並べられた。そこで△7三歩と辛抱するのは▲7四歩の追撃が利くようだ。次の狙いは▲6二飛で、取れば後手玉は詰み、△4一玉と逃げれば▲7二飛成で金を取りながら後手玉に迫れる。それよりも速い攻めが後手にあるかどうか。
▲6三香
*7分の少考。
*9五角のラインが生きているうちに踏み込んだ。前述のとおり、△7二金に▲2四飛△同歩▲6一角とするのだろう。後手からすれば避けようのない変化だ。
△7二金 ▲2四飛
*飛車切りを決行。これでもう止まらない。
△同 歩
*進行の一例は▲6一角△同飛▲同香成△7三歩▲7四歩で、そこで△4二玉▲7三歩成△3四歩▲7二と△3三玉を西田五段が示した。永瀬はここさえしのげば先手陣を崩す楽しみが残る。
▲6一角 △同 飛 ▲同香成
*▲5一角成までの詰めろ。防ぐには△7三歩が手軽かつ堅いが、以下▲7四歩の追撃はある。
△7三歩
*ここ数手は早指しが続いている。
*継ぎ盤では新たに、以下▲7四歩△4二玉▲7三歩成△3四歩のタイミングで(1)▲2二歩が利くかどうかが調べられている。続いて△9四歩▲2一歩成△9五歩▲3一と△同玉は激戦。(2)▲7二とだと△3三玉▲5一角成△4二香▲4三桂成△同玉が一例で、後手玉は容易に捕まらない。
*
*※局後の感想※
*本局の要所のひとつ。代えて△8四歩がまさった。以下(A)▲8四同角と取らせてから△7三歩と受ければ、角の利きが先手陣から外れるため、後の変化で後手が大きく得をする。(B)▲8一飛には△5五銀▲5一成香△6三玉と耐えて後手ペース。
*「それじゃあ、そちらは△8四歩を打ったほうがよかったですか」(木村)
*「こちらからすると2択ではあったのですが……。△8四歩を打たなかった罪はかなり重いですね」(永瀬)
▲7四歩
*攻めの要である9五角を使うには、打たれたばかりの7三歩をどかすしかない。
△4二玉
*永瀬は間髪いれずに玉を早逃げ。これで▲7三歩成や▲6二飛を緩和でき、△3四歩~△3三玉の脱出路も作成できる。控室では▲7三歩成△3四歩▲7二と△3三玉に、▲7七角と手を戻す変化が調べられている。そこで後手は角をすぐには取らず、△8九飛と設置する手が厳しいようだ。
*継ぎ盤周りでは「後手のほうが勝ちやすい。玉を逃げてから攻めに転じれはよい。対する先手は指す手が悩ましい」といった見解。やや後手持ちと見られている。
▲7三歩成 △3四歩
*後手陣左辺の壁形は常にネックとなっていたが、この歩突きの価値は大きい。
*
▲7二と
*▲5一角成までの詰めろ。
△3三玉
*19時頃、84手目△3三玉までの消費時間は▲木村4時間33分、△永瀬4時間1分(持ち時間各5時間、チェスクロック使用、切れたら1手60秒未満の着手)。
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*両者とも着手が早い。もう終盤の方針は決まっているのだろう。先手の攻めを、後手が本譜の早逃げでいかにいなすか。7七とが残っているため、先手の攻めを受けきってしまえば分かりやすい。
*継ぎ盤では以下▲5一角成△4二香▲4三桂成△同玉に▲8三飛が詰めろになるとして調べられている(手順は▲5三飛成△同玉▲6二馬△4三玉▲4四金まで)。以下△1七角の攻防手には▲8五飛成△7八と▲同銀で長期戦。
▲1一飛
*この手は控室で検討されていなかった。次に▲2一飛成とできれば迫力も出てくるが、この瞬間は響きが薄いためやや不安な面もある。進行の一例は△7八とに(1)▲2一飛成△7九とと駒を取り合う変化で、後手は次に△8八飛と打って合駒請求すれば勝ちやすい。対する後手玉は△4四玉~△5五玉と斜めに逃げていくルートがあるため捕まりにくい。
*「そこまで進むと、だいぶ先手が勝ちにくいと思います」(都成七段)
*(2)▲7八同銀と手を戻して途中の合駒請求の筋を防ぐのは、以下△7七歩▲2一飛成△7八歩成▲4八玉と辛抱することになるが、やはりそこで後手玉の耐久力が高いとのことだ。
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*※局後の感想※
*代えて▲7七角△同桂成▲同金△7六歩▲7八金の局面について、永瀬は「分からなかった。この変化を消すためにも、78手目△7三歩に代えて△8四歩とすべきでした」という。
*「こちらは84手目△3三玉と上がられたところはもう悲観していましたね。詰めろと縁がない形なのがつらかった」(木村)
△7八と ▲同 銀
*「代えて▲2一飛成△7九とだと苦しいので、ここはもう取らざるをえないです」(西田五段)
*以下△7七歩▲2一飛成△7八歩成のとき、(1)▲4八玉の早逃げならば辛抱の手順。(2)▲5六桂は厳しい狙いを秘めており、△2二金打という手堅そうな受けには▲4三桂成が刺さる。応手によっては後手玉が詰む変化だ。
△7七歩
*▲6九銀には△8八飛と打ち、これが合駒しにくく厳しい。
▲2一飛成
*ということで銀を逃げるという選択肢は採用しにくかった。木村は▲2一飛成で攻め合いに出る。後に▲1三歩成の応援が利くなど、追撃の手段自体はいくつかある。あとはそのターンが回ってくるかどうか。
△7八歩成 ▲4八玉
*19時30分頃、91手目▲4八玉までの残り時間は▲木村16分、△永瀬46分。
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*5八玉型のままだといつ先手玉が詰んでもおかしくない。9五角が受けに利いていることも含めて、本譜のように早逃げしておけばしばらく辛抱が利きそうだ。
*「ここで適切な寄せが見つからないと後手は焦ります。受けも視野に入れるなら、△6八とから考えてみたいです」(西田五段)
*次は△5八金から一気に迫るのが狙いのひとつ。△6八とに対して▲同角△7八飛▲7九金△7五飛成ならば、先手の持ち駒を使わせることで後手は入玉しやすくなる。つまり寄せにいくと見せかけて実質的には後手玉を守っている。19時30分、永瀬が10分以上手を止めている。
△6八と
*永瀬は残り時間の半分ほどにあたる22分を投じて△6八とを着手。控室で最有力とされていた手だ。
*この手が詰めろになっているかは定かではないが、例えば(1)▲5六桂で後手玉に詰めろを掛けると、△5八金▲同金△同と▲同玉△7六角と王手をしていったときに合駒が金しかなくなるため詰みやすい。(2)▲6八同角△7八飛▲7九金の辛抱には△7五飛成が手厚い。「といってもまだまだ大変ですが」と西田五段。後手がやれそうだが、決着が見えるような局面ではないという。
*
*※局後の感想※
*「消去法でした」(永瀬)
▲4五桂打
*木村も残り時間の大半にあたる11分を使い、残りは5分。
*急を要したのだろう。後手玉を中央に追うと▲1三歩成が空振るようになるが、それでも熟考の末に決断した。以下△4四玉に▲5三桂成として、△同玉ならば▲6二角成で△4二玉と狭いところに追いやれる。
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*※局後の感想※
*代えて(1)▲5一角成には、以下△4四玉▲2四馬△6七角▲4六馬に△1九飛で後手の勝ち筋に入る。
*「ただ(2)▲6八同角だとよく分かりませんでした」(永瀬)
*(2)▲6八同角は、△6七銀に▲5六桂が詰めろだが、以下△2二金打▲4三桂成△同玉▲4四金△4二玉▲9五角△7三歩▲同角成△7八飛▲3九玉に△1七角が攻防手。難解な変化だが、後手が余していたようだ。
△4四玉 ▲5三桂成
*▲5四成桂△同玉▲4五金△5三玉▲6二角成△4二玉▲5一馬△5三玉▲5四銀までの詰めろ。
*しかし現局面は先手玉もいかにも危ない。例えば△5八金▲同金△同と▲同玉△7六角▲6七金△8八飛▲6八金打△6七角成▲同玉△7七金▲同角△同桂成▲同玉△7四香▲7六歩△8七金▲6七玉△8九角となれば、先手玉は詰み筋に入る。
△5八金 ▲3九玉 △1九飛
*「すでに桂を手放したので、ここで金合いをするしかなくなりました」(西田五段)
*歩合いの▲2九歩だと、以下△1七角▲2八金△同角成▲同玉△1七金▲1九玉△1八銀まで詰み。
▲2九金
*「代えて▲2八玉には、△1七銀▲1九玉△1八歩▲2九玉△2八香▲3九玉△4九金以下の詰みがありました」(西田五段)
△2六香
*ここで(1)▲1九金と飛車を取るのは、以下△4八角▲同金△同金▲同玉△5八金▲3九玉△4八銀までの詰みがある。(2)▲2七歩には△1七角で合駒がなく詰み。対する後手玉に詰みはなく、また攻防手も見当たらない形だ。
*
*ここで持ち時間を使いきるまで考えてから木村が投了した。終局時刻は20時12分。消費時間は▲木村5時間0分、△永瀬4時間50分(持ち時間各5時間、チェスクロック使用、切れたら1手60秒未満の着手)。
*シリーズは永瀬が1勝を返し、両者1勝ずつのタイに。第3局は9月22日(水)、神奈川県秦野市「元湯 陣屋」で行われる。
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*※局後の感想※
*総括として、永瀬は48手目△7六香に代えて△7五歩、78手目△7三歩に代えて△8四歩、が本譜よりまさるとして反省(詳細はそれぞれの感想戦コメントにて)。木村は「作戦として課題が残ったまま、最後までいっちゃった気がしますね」と振り返った。感想戦は21時13分まで行われた。
まで100手で後手の勝ち

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