第34期竜王戦七番勝負第2局。豊島将之vs藤井聡太

開始日時:2021/10/22 09:00
終了日時:2021/10/23 17:10
表題:第34期竜王戦七番勝負第2局
棋戦:竜王戦
戦型:相掛かり
持ち時間:8時間
消費時間:70▲452△412
場所:京都府京都市「総本山仁和寺」
備考:昼休前33手目55分\n2日目昼休前53手目3分\n封じ手時刻:18:00<43手目>\n
先手:豊島将之竜王
後手:藤井聡太三冠

*豊島将之竜王に藤井聡太三冠(王位・叡王・棋聖)が挑戦する第34期竜王戦七番勝負は、藤井の先勝で幕が上がった。難局を制した勢いのまま流れをつかむのか、それとも豊島が五分の星に戻して仕切り直すのか。
*第2局は10月22・23日(金・土)、京都府京都市「総本山仁和寺」で行われる。持ち時間は各8時間。豊島が先手番。対局開始は9時。昼食休憩は12時30分から13時30分。封じ手は1日目18時の時点で手番の棋士が行う。
*立会人は淡路仁茂九段、読売新聞観戦記の新聞解説は小林裕士七段、執筆は池田将之さん、記録係は麻生喜久三段(増田裕司六段門下)が務める。また現地では対局2日目に大盤解説会が行われる(仁和寺サイトにて事前申込制、完売済)。解説は服部慎一郎四段、聞き手は長谷川優貴女流二段が務める。
*
▲2六歩
*8時20分頃、対局室には記録係の麻生三段。入念な駒磨き、記録用タブレットのチェックなどを行っている。8時40分、立会人の淡路九段が入室。関係者たちと対局開始時の動きについて確認。
*8時45分、藤井が入室。和服姿でも慣れた様子ですぐに着座し、手荷物を置くと盤上に視線を落としてじっと動かない。集中力を高めている。朝にバッタリと遭遇したという関係者の話によれば「話し掛けられる雰囲気ではなかった」という。豊島はそれから4分ほどして上座に着いた。盆の位置などを調整し、時計を盤の手前に置く。
*8時50分、両者が深々と一礼して豊島が駒箱に手を伸ばした。ゆっくりと、駒の感触を確かめるようにして駒を並べていく。対局準備が整うと、ともに微動だにせず定刻を待つ。庭園からは小鳥のさえずり、また時折、撮影陣によるシャッター音。
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*「定刻になりましたので、第34期竜王戦七番勝負第2局の対局を始めてください」(淡路九段)
*30秒ほどだろうか。豊島は間を置いてから飛車先の歩を突いた。
*
*【しばらく盤上に厳しい視線注ぎ、豊島竜王が初手…竜王戦第2局始まる|読売新聞】
*
△8四歩
*本局は両日、ABEMAで生中継が行われる。詳細は以下のとおり。
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*◆対局1日目
*日 時:10月22日(金) 開始8時30分
*解 説:高見泰地七段、三枚堂達也七段
*聞き手:本田小百合女流三段、野田澤彩乃女流初段
*また対局配信後には、渡辺明名人、香川愛生女流四段、清水久嗣アナウンサーによる特別番組が同枠で配信される。
*マルチアングル放送
*出演:福崎文吾九段、阿部隆九段、中村亮介六段、阪口悟六段、水町みゆ女流初段
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*◆対局2日目
*日 時:10月23日(土) 開始8時30分
*解 説:行方尚史九段、青嶋未来六段
*聞き手:香川愛生女流四段、石本さくら女流二段
*マルチアングル放送(出演者は対局1日目と同様)
▲2五歩
*前夜祭の中で、各棋士が壇上で戦型予想を行った。相掛かりと角換わりのどちらかだと挙げられ、以下のように述べている。
*「相掛かりか角換わりのどちらか。相掛かりのほうが7割ぐらいで、最新形が出てくるのではないか」(淡路九段)
*「私も相掛かりが本命です。過去の対戦だと出だしは先後関係なく飛車先の歩を突き合っていて、相掛かりと角換わり以外は考えにくい」(小林裕七段)
*「両者の対戦は直近だと5局連続で相掛かり。豊島先生が作戦を変えて角換わりを採用するのではないか」(服部四段)
*また服部四段は、豊島は先手番で角換わりが得意というイメージもあるという。記録係の麻生三段も類似の理由で角換わりを予想していた。
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△8五歩
*両者の対戦成績は豊島の9勝9敗(直近10局、右が最新:●●●○●●○●●●)。出だしは豊島が6連勝と圧倒していたが、その後は藤井が盛り返して現在に至る。
*戦型は直近5連続で相掛かり、その前は4連続で角換わり、とこの2種がよく指されている。前述の戦型予想でも各棋士が触れていたデータである。
*
▲7八金
*◆豊島 将之(とよしま まさゆき)竜王◆
*1990年4月30日生まれの31歳。愛知県一宮市出身。桐山清澄九段門下。
*1999年、6級で奨励会入会。2007年、四段。2019年、九段。棋士番号は264。
*タイトル戦登場は16回。獲得は竜王2期、名人1期、王位1期、叡王1期、棋聖1期の計6期。棋戦優勝は3回。
△3二金
*◆藤井 聡太(ふじい そうた)三冠(王位・叡王・棋聖)◆
*2002年7月19日生まれの19歳。愛知県瀬戸市出身。杉本昌隆八段門下。
*2012年、6級で奨励会入会。2016年、四段昇段(プロ入り)。2021年、九段昇段。棋士番号は307。
*タイトル戦登場は6回。獲得は王位2期、叡王1期、棋聖2期の計5期。棋戦優勝は5回。
▲3八銀
*豊島の今年度成績は16勝13敗(0.552)。
*通算成績は529勝246敗(0.683)。
△7二銀
*藤井の今年度成績は34勝6敗(0.850)。
*通算成績は247勝46敗(0.843)。
▲5八玉
*豊島の直近10局の成績は6勝4敗(右が最新:○●○●○○●●○○)。
△9四歩
*藤井の直近10局の成績は9勝1敗(右が最新:○○●○○○○○○○)。
▲9六歩
*豊島の竜王戦成績は59勝23敗。
*第32期に広瀬章人竜王(肩書は当時)との七番勝負を4勝1敗で制して、自身初となる竜王を獲得。続く第33期では羽生善治九段を相手に4勝1敗で初防衛を果たした。
△8六歩
*藤井の竜王戦成績は33勝4敗。初参加の第30期からすべて決勝トーナメントまで勝ち進んでいた。
*今期は2組からの出場。ランキング戦で阿久津主税八段、広瀬章人八段、松尾歩八段、八代弥七段に勝って決勝トーナメント進出。続いて山崎隆之八段と八代弥七段に勝って、挑戦者決定三番勝負では永瀬拓矢王座に2連勝。挑戦権を手にした。
▲同 歩
*本局の戦型は相掛かりに。七番勝負第1局も相掛かりだった。当時は歩をかすめ取り合おうと細かなやりとりが続く序盤に。中盤では豊島が攻めの主導権を握ったが、道中で飛車を渡してからは攻め合いの形に持ち込まれ、最終盤では藤井が攻防を交えて押し切った。
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△同 飛
*関係者一行は前日の15時頃、対局場である仁和寺に到着した。記念撮影等を行ったあと、検分は定刻の16時から前倒しして15時43分に開始。盤や駒のチェックが行われ、立会人の淡路九段からは何か用意してほしいものはないか、ふすまを開くかどうか、などを両対局者に確認。特に問題はなく、5分ほどで滞りなく終了した。
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▲8七歩
*前夜祭の決意表明において、豊島は「仁和寺対局は3年連続で、私にとっても3年連続。対局室が荘厳な雰囲気で、一歩出ると非常にきれいな庭園が視界に入ってよい気分転換になることが印象的」、藤井は「仁和寺に荘厳な雰囲気を感じた。由緒ある素晴らしい対局場で指せることを光栄に思う」ということをそれぞれ語った。詳細は下記リンク先を参照。
△8四飛
*前例は6局で▲1勝△5勝。後手が圧倒している形である。その中には両者の対戦もあり、今年8月に行われた第6期叡王戦五番勝負第4局で出現していた。以下▲1六歩△1四歩▲7六歩に△7四飛の縦歩取りを藤井が見せたところ、豊島は▲2六飛と浮き飛車で応じていた(結果は豊島勝ち)。
*
▲7六歩
*豊島は1筋の端歩突きを入れずに角筋を通す。自身が勝った前例を離れた。さらに改良する余地があったということか。
△5二玉
*7分の少考。
*前例は1局に絞られている。それはなんと今年10月21日、つまり昨日指されたばかりの▲屋敷伸之九段-△阿久津主税八段戦(順位戦B級1組、後手勝ち)で、ほどなくして角交換になっていた。
▲6六角
*ここですべての前例から離れた。▲屋敷-△阿久津戦では代えて▲7七角に△3四歩と角をぶつけていた。
△7四飛
*7分の少考。
*縦歩取りの動き。6六に角がいるため、(1)▲2六飛では受けにならない。(2)▲7七金と受けるのか、何かほかの手段を探すのか。
▲7五角
*10時頃、21手目▲7五角までの消費時間は▲豊島4分、△藤井19分。
*
*豊島は1分で決断。あまり見掛けない受け方である。この変化も想定済みということだろうか。
*「19手目▲6六角というのは、次の△7四飛を誘発した手でした。そしてこの角上がりは着手が早く、豊島さんの研究だと思われますね。藤井さんとしては後に△5四飛~△7四歩という風にして角をいじめたいでしょう。また次の一手が注目で、△3四歩と角筋を通すかどうか。そうしておけば△5四飛~△7四歩で角を追ったときに▲6六角と引きにくくなります」(小林裕七段)
*代えて▲7七金という受け方も考えられたが、「その場合は△5四飛~△7四歩~△7三銀~△6四銀として、6六角が窮屈です」と小林裕七段。
*9時50分頃、ABEMAマルチアングル放送に出演する福崎九段、阿部隆九段、中村亮六段、阪口六段、水町女流初段が控室に姿を見せた。ここまでの進行と時間の使い方を見て「豊島さんの予定どおりってこと?」と福崎九段。
*
*10時、両対局者におやつが用意された。注文は、豊島が「フルーツ盛り合わせ」と「ホットティー」、藤井が「くま最中」と「あんと塩きなこ」と「アイスコーヒー」。すべて対局者用控室に運ばれる。
*
△5四飛
*26分の考慮。
*小林裕七段もどこかのタイミングで指したいといっていた飛車回りだ。藤井はさっそく着手した。これでいつでも△7四歩で角に当て、右銀や右桂を進出するための道もできる。
▲8八銀
*玉頭を狙われているため代えて▲6八銀と中央側に上がりたいところでもあるが、豊島は2二角の間接的なラインを緩和する手を選んだようだ。
△8三銀
*平たい陣形を維持したまま銀を進軍。次は△7四銀▲6六角△6五銀と角を追いながら7六歩を取り払いにいくのが一例。
▲6六角
*対局地である京都市は、京都府の県庁所在地で政令指定都市。府の人口の過半数を占める。神社仏閣、史跡、町並みが数多く残っており、伝統文化の継承も行われている。国際観光文化都市にも指定されている。
*京都の名物グルメは、おばんざい、精進料理、鯖寿司、にしんそば、湯豆腐、など。また抹茶、餡、和三盆などを使用する和スイーツや、通年で食べられるカキ氷のレベルも非常に高い。
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△7四銀
*対局場である「仁和寺」は、真言宗御室派の総本山の寺院。「古都京都の文化財」の構成資産として、世界遺産に登録されている。光孝天皇の勅願で仁和2年(886年)に建てられ始め、子の宇多天皇によって仁和4年(888年)に落成。当初は「西山御願寺」と称されたが、やがて元号を取って「仁和寺」となる。広大な境内には国宝の「金堂」をはじめ、仁和寺御殿といわれる御所風建築物が建ち並ぶ。
*仁和寺で竜王戦七番勝負が開催されるのは3期連続3回目。
*
▲7七角
*小林裕七段は以下△6五銀に対して、(1)▲2六飛△7四飛▲7五歩△同飛に▲2四歩△同歩▲同飛を本線の読みとしている。
*「(A)▲2三歩の角捕獲と(B)▲8四飛の転回を同時に狙えますが、▲2四同飛のタイミングで△3四歩と突けばどうなっているのか判断は難しいですね」(小林裕七段)
*7筋の歩を助けるならば(2)▲7五歩という手段もあるようだ。
*
△6五銀
*22分の考慮。
*これで何事もなく7六歩を取り払えば藤井よし。先手は当然、その手を防ぐだろう。
▲2六飛
*「△7四飛と回れば面白くなりますよ」(小林裕七段)
*つまり前述の、以下▲7五歩△同飛▲2四歩△同歩▲同飛△3四歩の変化のことだ。
*「しかしそれは後手が少し指しにくくなる気がしますね。▲7五歩を△同飛と取らない変化も考えるかもしれません」(小林裕七段)
*
△7一金
*11時頃、30手目△7一金までの消費時間は▲豊島12分、△藤井1時間24分。
*
*10分の少考。
*「先手は▲8六歩~▲8七銀と形よく組みたいですが、▲8六歩には△3四歩で角交換を狙うということですかね。△3五角の筋がありますから。なので先手もどこかで▲4八金と備えておく必要があります」(小林裕七段)
*▲8六歩以外の手には△7四飛で、前述の変化が予想される。そうなると8筋に飛車を転回されたとしても7一金型が堅い。11時20分、豊島が20分以上の熟考中。ここまであまり手を止めてこなかったが、いよいよ想定外の局面になったのかもしれない。
▲7五歩
*25分の考慮。
*「ひと目は△7四歩と突きたくなります。以下(1)▲7四同歩△同飛となれば後手がよい形になりますね。ただ△7四歩には(2)▲8六飛が気になります。(A)△8二歩には▲6六歩で銀を捕獲できますし、(B)△7五歩には▲8三飛成でその竜は捕まらないでしょう」(小林裕七段)
*
*※局後の感想※
*序盤の要所。代えて▲8六歩△3四歩▲4八金△3三桂▲8七銀のほうが本譜よりもまさったと豊島は振り返る。以下△4五桂▲6六歩△4四角に、(イ)▲4六飛ならば△5七桂成▲同金△同飛成▲同玉△5六金▲同飛△同銀▲4八玉△6九飛で後手よしだが、(ロ)▲3六飛△3五角は激しい攻防ながら難解。
*「結構嫌なんですかね」(豊島)
*「こちらが無理をしている感じも」(藤井)
*「まぁでも、本譜よりは▲8六歩のほうがよかったです。▲7五歩はまずい手で、あまりよいところのない将棋になってしまった」(豊島)
△7四歩
*12分の少考。
*攻めの態勢自体は整っている。しかし以下(1)▲8六飛の反発は気掛かりだと、淡路九段や小林裕七段は検討している。
*「▲8六飛に(A)△8五歩▲同飛△7六銀を考えていましたが、それは後手がうまくいきません。以下▲8三飛成△7七銀成▲同銀に△7五歩と歩を取ると、▲7二歩(次の▲7一歩成が詰めろ)が厳しいんです」(淡路九段)
*途中で(B)△7五歩▲8三飛成△7四銀▲8六竜△8五歩▲2六竜とするのは自然な進行のひとつ。先手は竜を生還でき、後手は手得を重ねながら右辺を盛り上げていける。ともに主張ある展開だが、先手は8八銀の壁形や7筋の角頭が弱点になりかねないなど、後手にとって指しやすいポイントも多い。
*(2)▲2四歩△同歩の突き捨てを入れるのが得か否かも考えどころ。例えば以下▲7四歩に(イ)△7四同飛ならば▲2五歩の継ぎ歩攻めがうるさい。(ロ)△7四同銀~△7三桂ならば後手ペースだろうか。とはいえ先手は7筋の歩を取る以外にも手がある。
*
*時刻は12時30分。この局面で豊島が56分考えて昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲豊島1時間33分、△藤井1時間36分。昼食の注文は、両者とも「桜御膳」。対局は13時30分に再開する。
*
*13時54分、対局再開から20分以上が経過しているが、豊島はまだ着手しない。右手で頭を押さえるなど、見るからに悩ましい局面と対峙しているようだ。手番であるがいったん席を外す。
*「いろいろと検討してみた結果、歩を渡したりせずに(1)▲8六飛がいちばん有力そうでした」(小林裕七段)
*
▲9五歩
*対局再開の一着。昼食休憩前と合わせて1時間51分の大長考だった。
*「△9五同歩▲8六飛△7五歩のとき、(1)▲9五香△同香▲8三飛成ということですね。以下△9八香成には▲9二竜△8二歩▲9八竜として、そこで△7六香の反撃はあるものの、構わず▲9一竜で先手の攻めがつながります(▲7二歩△同金▲8一竜の筋など)。田楽刺しはあまり気にしなくてよい展開ですね」(小林裕七段)
*端香を走らずに(2)▲8三飛成△7四銀▲8六竜△8五歩▲2六竜で局面が収まってしまうと、9筋の端歩の突き捨てが後手有利に働いてしまう。そのため(1)▲9五香が有力とされている。
*14時40分、藤井の手が15分ほど止まっている。ここまでは落ち着いた様子で盤面に集中するばかりだったが、いまは前傾姿勢が深くなり、右手で扇子を開閉し、表情も険しくなっている。対する豊島は和服を整えたり、天井を見上げるなど、ひと息ついたという感じだ。
*
*15時頃、33手目▲9五歩までの消費時間は▲豊島2時間28分、△藤井1時間36分。
*15時、両対局者におやつが用意された。注文は、豊島が「アップルパイ」と「グレープフルーツジュース」、藤井が「アップルパイ」と「アイスティー」。すべて対局者用控室に運ばれる。
*
△7五歩
*40分の長考。
*なんと端攻めの相手をしない。継ぎ盤周りからは驚きの声が漏れた。すぐに▲9四歩△7六歩▲8六角△3四歩▲2四歩△同歩▲同飛まで並べられる。互いに主張のある変化だ。先手はそのあと▲2五飛と引いて6五銀に当てるのがひとつの狙い。
▲9四歩
*ここで歩を取れなければ、33手目▲9五歩を否定することになる。
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△7六歩
*16時頃、36手目△7六歩までの消費時間は▲豊島2時間31分、△藤井2時間24分。
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*▲8六角に(1)△1四歩▲2四歩△同歩▲9三歩成△同桂▲6六歩△7四銀▲5六飛△同飛▲同歩が控室で調べられた。途中の2筋の歩の突き捨ては、将来的に△1三角と出にくくしたもの。飛車交換になれば7三地点に打ち込む隙があるなど、先手のほうが楽しみは多い。
*「調べれば調べるほど、後手のやる手が分からないけどな」(淡路九段)
*しかし検討は進み、淡路九段は▲8六角のあと(2)△3四歩▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2五飛△7三桂▲9三歩成に△3三桂▲2六飛△4五桂を示した。これは先手の端攻めが間に合わず、後手にとって有力な反発になるようだ。
*「確かに桂の2段活用が利きますね」(小林裕七段)
*「手順中の△7三桂が読みにくいです。次の▲9三歩成が見えているので、読みを打ちきってしまいますから。でもその変化があるなら、藤井さんがよいのかもしれません」(淡路九段)
*またABEMA出演の合間に控室を訪れた阿部隆九段も(2)△3四歩以下の候補手順に同調し、「先手は使えていない駒があるのであまり自信がありません。後手陣は△4二銀の1手で万全になりますし、攻撃態勢も整っています」との見解。控室全体として、徐々に後手ペースとの見立てになってきたようだ。
*
▲6八角
*50分の長考。
*「これは玉頭を守った手ですね」(小林裕七段)
*つまり△3四歩▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2五飛△7三桂▲9三歩成に△3三桂▲2六飛△4五桂と反撃されたとき、8六角型よりも6八角型のほうが守りによく利いている。続いて▲4八金と上がれば、さらに玉頭は堅くなる。
△3四歩
*「やっぱり」(淡路九段)
*「このときに▲2四歩と突きやすくしたのが、直前の角引きの効果です」(小林裕七段)
*
*※局後の感想※
*「△3四歩がすごく味のよい手です」(豊島)
▲2四歩
*16分の少考。
*この手が利かなくなると、豊島は形をほぐす手段を失いかねない。直前の角引きを生かすためにも飛車先の歩は交換したいところ。
*
*※局後の感想※
*代えて▲4八金は、△4四角▲4六飛△3三桂が進行の一例。
*「攻められにくいですけど、持ち歩1枚だとじわじわと悪くなっていくので」(豊島)
△同 歩 ▲同 飛
*17時頃、41手目▲2四同飛までの消費時間は▲豊島3時間37分、△藤井2時間42分。
*
*「ここは手が広いですが、自然なのは(1)△2三歩ですね。以下▲2五飛△7三桂に(A)▲4八金として後手の攻めに備えてどうか。(B)▲9三歩成とする展開ではなくなってきたと思いますね。ほかには(2)△9七歩▲同香△9八歩の筋で攻める手も考えますが、ただその狙い自体はあまり響きがありません。やるなら(1)△2三歩のほうでしょう。1手指せば、そのあと数手は進みそうです」(小林裕七段)
*17時10分、藤井が20分以上の熟考中。小林裕七段は(3)△7三桂も考えているのではないかと予想している。ABEMA出演の合間に控室を訪れた福崎九段は「(1)△2三歩には▲2五飛で6五銀に当てるのが自然ですし、以下△7三桂には無難に▲4八金です。皆さんその手順から考えますよね。そこで後手の指す手が分からない。人間的には、形勢は互角だと思います」と見解を述べた。
△9七歩
*35分の考慮。
*「この手も有力そうでした。(1)▲9七同香には△9八歩があります」(福崎九段)
*「△9八歩の垂らしは厳しいので、この歩は取りにくいです。(2)▲4八金でしょうか。以下(A)△9四香には▲9五歩で受かりますので、(B)△9四飛▲9五歩△7四飛が考えられますが、それだと先手がおとなしすぎます。(3)▲2五飛△7三桂▲2四歩△3三桂▲2六飛△2五歩▲4六飛も一案ですが……。しかし積極的に(1)▲9七同香の変化を読まないといけないのかもしれません。また、飛車を切るような手は△2八歩も生じますので選びにくいですね」(小林裕七段)
*「藤井さん、結構考えてから指しましたよね。ここで封じ手になるかもしれませんよ」(福崎九段)
*しばらく控室を離れていた淡路九段が、和服姿になって戻ってきた。封じ手の定刻まであと30分ほど。
*
*18時、豊島が38分考えて次の一手を封じた。消費時間は▲豊島4時間15分、△藤井3時間17分(持ち時間各8時間)。対局は明日23日(土)の9時に再開する。
*
*七番勝負の全対局において、読売新聞オンラインで「封じ手クイズ」を実施する。第2局の応募締め切りは23日(土)8時。詳細は下記リンク先をご参照いただきたい。また本局に関係する棋士の何人かに、改めて封じ手予想をしていただいた。
*「ピタッとした手は思い浮かばない局面で、ゆっくりしていると後手がよくなっていきそうです。先手が耐える将棋になるのかな。(2)▲4八金や(3)▲2五飛で、後手がどこかで△9四飛と歩を取り払うのを甘受する展開になりそうです」(福崎九段)
*「いろいろと考えましたが、予想は消去法で(1)▲9七同香にします。以下△9八歩に▲7七歩で後手の角筋を閉ざして戦います。ただしそこで△7三桂が味のよい桂跳ねになりますが。先手が受身な状態で、攻め合いにはなりにくいです」(小林裕七段)
*「人間的には2択の局面で、(1)▲9七同香△9八歩▲7七歩か、(3)▲2五飛△7三桂▲2四歩△3三桂▲2六飛△2五歩▲4六飛のどちらかです。ただ後者は後手陣の左右の桂跳ねが味よく、また△3五歩~△2四飛で歩を取り払う変化も生じます。なのでやるならば(1)▲9七同香のほうですね。それでも後手は好きなタイミングで△9九歩成▲同銀を利かせるようになりますし、先手が苦労しそうです。勝負手気味な手を繰り出したいところですが、探すのが難しいですね。耐えて、反撃を楽しみに、という将棋になると思います」(対局2日目の現地大盤解説を担当する服部四段)
*「持ちたいのは後手です。歩の垂らしを放置すると△9四飛で、先手の主張だった拠点がなくなってしまいます。それだけは阻止したいので、(1)▲9七同香△9八歩▲7七歩の辛抱を予想します」(麻生三段)
*
*服部四段は前夜祭と対局2日目に現地入りするため、上記の封じ手予想はリモートでの解説。続いて現局面までの振り返りもしていただいた。
*「序盤は意地の張り合いのような進行もありました。30手目△7一金の直前までが豊島先生の予定だったと思います。31手目▲7五歩は突っぱった手で、代えて▲8六歩~▲8七銀であればここまで激しくはならなかったはずです。32手目△7四歩に対して▲8六飛から竜を作る変化だと思わしくないと見られたのか、先手はそのあたりに誤算があったのかもしれません。後手はどの変化でも6五銀が好位置です」(服部四段)
*
▲同 香
*一夜明けて対局2日目。
*8時20分、対局室では記録係の麻生三段が棋具を整えている。15分ほど掛けて入念に駒を磨き終えると、盤と駒台を磨いてから駒箱を盤の中央に置いた。8時40分に新聞解説の小林裕七段、8時43分に立会人の淡路九段がそれぞれ入室。
*8時45分、藤井が姿を見せた。手荷物を置き、茶をひと口。しばし間を置いてからもうひと口。豊島は8時48分に入室。ほどなくして駒箱に手が伸びた。8時54分に初形まで並べ終えると、すぐに指し手の再現が始まった。記録係が棋譜を読み上げ、両対局者が初手から42手目△9七歩までを着手していく。
*8時58分に再現が終わると、淡路九段から「ただいまより封じ手を開封します」の声。封じ手封筒2通を両対局者に見せてからハサミを入れた。封じ手は、概ね予想されていた▲9七同香だ。
*
△9八歩
*香をつり上げた効果。この歩の垂らしが着実な攻めとなる。2二角のラインがあるため、次は△9九歩成▲同銀に△同角成とできる。
▲7七歩
*ということで2二角のラインを遮断。それでも△9九歩成▲同銀で先手陣左辺は乱されてしまうが、辛抱の変化を選んだからには致し方ない。
△7三桂
*13分の少考。
*「ほかに(1)△6二金や(2)△7四飛も考えられましたが、私も本譜の桂跳ねが候補手でした。これで▲2五飛と引かれても6五銀にヒモがつきます」(小林裕七段)
▲9三歩成
*9時30分、控室には服部四段が来訪している。棋士2年目の四段でありながら、本日行われる現地大盤解説会のメインの解説棋士に大抜擢された。
*「これは、やってこいという手ですね。後手は△8五桂~△9七桂成~△2三香で飛車を捕獲するのが狙いのひとつです。なので先手も後に▲2五飛と引いてその筋に備え、△9九歩成▲同銀△7七歩成には▲同桂で頑張るのだと思います」(服部四段)
△9九歩成
*10時頃、48手目△9九歩成までの消費時間は▲豊島4時間24分、△藤井3時間58分。
*
*24分の考慮。
*「▲9九同銀△7七歩成に(1)▲7七同桂は、以下△7六歩▲6五桂△同桂で後手の攻めが厚そうです。(2)▲7七同角には△同角成▲同桂△3五角▲2一飛成△5七飛成▲6九玉△7六歩▲5八歩をいま継ぎ盤で検討しています」(小林裕七段)
*「そこで(A)△7七歩成は▲5七歩で先手が耐えていそうなので、(B)△5六竜▲6八桂△5四竜といったん引いてどうか。続く▲2二角が一例です」(淡路九段)
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*10時、両対局者におやつが用意された。注文は、豊島が「フルーツ盛り合わせ」と「ホットティー」、藤井が「紅葉」と「栗の子」と「アイスコーヒー」。すべて対局者用控室に運ばれる。
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▲同 銀
*「後手がこの歩の成り捨てを利かすときは、もう一気に攻めてしまうときなんですよ。攻めが止まると、後に▲8八銀と戻られてしまって成り捨て損になりますから。封じ手からひと晩考える時間があって、本譜が本線の読みだと思いますので、48手目に24分を投入したのは再確認のためですね」(服部四段)
*以下△7七歩成▲同角△同角成▲同桂に、(1)△3三桂が服部四段好みの手だという。続いて▲2一飛成△4五桂▲4八金△7六歩と、逃げた桂を活用しながら攻め続ける。先手の攻めの主軸は▲2二角になりそうだが、その手が間に合わないようにするのが理想的である。前述した(2)△3五角の変化も有力だが、どこかのタイミングで▲4六桂と角筋を閉ざされてしまう可能性がある。それを警戒するならば(1)△3三桂、ということだ。
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*10時25分、藤井が20分以上の熟考中。右手で扇子を小さく開閉して読みのリズムを刻んでいる。
*「手順中に(2)△3五角とする変化は簡単ではなさそうですね。以下▲2一飛成△5七飛成▲6九玉△7六歩▲5八歩△5六竜▲6八桂△5四竜▲2二角△7七歩成▲同金△8五桂▲7八金△7七歩▲7九金△5六桂▲1一角成として、(A)△6八桂成▲同金△5六桂に▲4六桂と角筋を閉ざし、△6八桂成▲同玉△5六銀▲4八金までが進行の一例です。先手も辛抱が利いていると思います」(小林裕七段)
*時刻は10時40分。継ぎ盤検討は進み、後手が攻める中で(B)△6八角成と角から踏み込む手が発見された。これは後に3五角の利きを遮断されないようにしたもの。以下▲同金に△7六桂の追撃が見るからに受けにくい。ということで、手順中の▲6八桂の受けを省略して▲2三桂と攻め合う変化が改めて検討されている。
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*11時頃、49手目▲9九同銀までの消費時間は▲豊島4時間33分、△藤井3時間58分。
*現地では大盤解説会が始まった。
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△8五桂
*12時頃、50手目△8五桂までの消費時間は▲豊島4時間33分、△藤井5時間19分。
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*1時間21分の長考だった。
*控室では代えて△7七歩成が有力視されていたが、実戦は違った。藤井は単に△8五桂と跳ねる。服部四段は「ここで長考しているなら」として桂跳ねも候補手には挙げていた。ただし以下(1)▲2五飛が6五銀に当たる関係で、△7七歩成の変化よりは選びにくいのではないかというニュアンスだった。
*淡路九段と小林裕七段が継ぎ盤を囲む。(2)▲8二と△同金▲9一香成△7七歩成▲同桂△同桂成▲同角△同角成▲同金に、(A)△3三角▲2一飛成△7七角成▲2三桂△5六桂▲同歩△同銀▲4八玉△6七馬▲3九玉△2七歩▲同銀△4九馬▲同玉△4七銀成まで進めば後手勝勢。(B)△3五角は詰めろ飛車取りだが、▲4六桂の返し技があるため(A)△3三角のほうが分かりやすいようだ。ただし道中の分岐が多く、すぐに結論が出る様子はない。
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*※局後の感想※
*代えて△7七歩成▲同角△同角成▲同桂について、「そこで△3五角だと▲2一飛成で大変そう。でも一気にいけないなら、選べないのかなと」と藤井。本譜の長考となった。
▲2五飛
*55分の長考。
*昼食休憩の定刻が近づく中、豊島はもう1手指した。飛車の横利きで相手の攻め駒を責める。
*「△9七桂不成としますね。以下▲同桂△7七歩成▲同角△同角成▲同金に△5五香で後手の攻めはつながります。そこで▲4六角と受けても△3五角があります」(淡路九段)
△9七桂不成
*代えて△9七桂成だと手抜かれてしまう。本譜ならば(1)▲6五飛の銀取りよりも△8九桂成の攻めのほうが厳しいため、おそらく(2)▲9七同桂と応じることになるだろう。
*「(2)▲9七同桂には(A)△7七歩成▲同角△同角成▲同金△5五香ですね。(B)△7四香も考えはしますけど」(小林裕七段)
*「50手目△8五桂に代えて△7七歩成も有力でしたが、本譜のほうが一直線の進行になります。手順中の△5五香までいけば後手がやれていると思いますね」(服部四段)
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*時刻は12時30分。この局面で豊島が3分考えて昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲豊島5時間31分、△藤井5時間24分(持ち時間各8時間)。昼食の注文は、豊島が「御室御膳」、藤井が「京ゆばうどん」。対局は13時30分に再開する。
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*13時22分に藤井、13時25分に豊島がそれぞれ休憩から戻ってきた。13時30分、対局再開の合図からすぐには動かない。
*「(3)▲2四歩だとどうなるのかな」(淡路九段)
*「以下△8九桂成▲2三歩成△同金▲同飛成△7七歩成▲同角△同角成▲同金に(イ)△2二香だと▲4一角がある、ということですか」(服部四段)
*ただし途中で(ロ)△4五桂がシンプルながら受けにくい。そこで▲4八玉と直撃を避けても、△2二香▲4一角△6二玉▲4三竜に△5七飛成以下の詰みが生じる。つまり(3)▲2四歩でも後手がやれるようだ。
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▲2四歩
*対局再開の一着。昼食休憩前と合わせて28分の考慮だった。
*銀も桂も取らず、豊島は2筋突破を目指す。控室で候補のひとつに挙がっていた一着だ。自然に進めるならば以下△8九桂成▲2三歩成△同金▲同飛成△7七歩成▲同角△同角成▲同金で、そこで△4五桂の受け方が悩ましいという。
*14時5分、藤井が10分ほど手を止めている。盤面をにらみつつ、何度かうんうんとうなずく仕草が見られた。現地大盤解説会では小林裕七段が登壇中だが、ここで藤井が長考に沈むと予想している。実際、14時35分を超えてもまだ指す気配はない。残り時間は2時間を切っている。
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*※局後の感想※
*代えて▲9七同桂△7七歩成▲同角のタイミングで△5五香が一例で「厳しい」と豊島。△9七桂不成の局面はすでに苦しいとの見解だった。
△8九桂成
*52分の長考。
*2筋を受けようとする△3三桂は、▲6五飛でうまくいかない。攻め合いに応じるならば本譜だ。
▲2三歩成
*豊島はノータイムで応じる。
△同 金 ▲同飛成 △4五桂
*後手に角を渡す前に、先手の玉頭を攻める△4五桂を設置。
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▲4八玉
*15時頃、59手目▲4八玉までの消費時間は▲豊島6時間9分、△藤井6時間16分。
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*13分の少考。
*玉頭攻めが直撃しないように玉を早逃げ。△7七歩成▲同角△同角成▲同金に△2二香と打ち、2三竜が逃げても遠く先手陣をにらめるようにするのが一例だ。
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*15時、両対局者におやつが用意された。注文は、豊島が「紅葉」と「栗の子」と「グレープフルーツジュース」、藤井が「オレンジジュース」と「アイスティー」。すべて対局者用控室に運ばれる。
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△9九成桂
*16時頃、60手目△9九成桂までの消費時間は▲豊島6時間9分、△藤井6時間30分。
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*14分の少考。
*藤井はじっと銀を補充した。△7七歩成から角交換にしなければ、後手玉を寄せられる心配も少ない。いちばんよいタイミングで△7七歩成を決行すれば決め手となりうる。
*「△5七桂成から一気に決めにいく、というのが本線の読みになります。例えばここで▲8三とには△7七歩成として、(1)▲7七同金△5七桂成▲同角△同飛成▲同玉△5六香▲4六玉△3五銀▲4五玉に、△7七角成で金を取れば先手玉に詰めろが掛かります。以下▲3二飛には△4二角と受けて後手優勢です」(小林裕七段)
*途中で(2)▲7七同角と応じるのは以下△同角成▲同金△5七桂成▲3九玉に、△4八銀▲2八玉の2手も入れてから△2二香の田楽刺しが厳しい。3九玉型のままだと▲4一角△同玉▲4三竜から後手玉が詰むため、2八玉型に誘導する(▲4三竜と移動できないようにする)のがポイントとなる。
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▲8三と
*52分の長考だった。
*角が手に入れば▲4一角△6二玉▲5二金までの詰めろが生じるように、後手玉の退路を閉ざした。
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*※局後の感想※
*代えて▲5六歩は、以下(1)△7七歩成には▲2四角で先手もまずまず。(2)△3二銀打▲2五竜△5六銀▲5八歩は後手を引くという不満はあるものの「本譜よりは頑張れた」と豊島。
△7七歩成
*「決めにいった手です。この順は一本道になりそうです」(小林裕七段)
*60手目コメントに記載した筋で、このと金を角と金のどちらで取っても後手が押し切れるという。16時45分、豊島が20分以上の熟考に沈んでいる。盤面に集中する中で、ふと中空を見上げる仕草も。
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▲同 金
*25分の考慮。
*進行の一例は以下△5七桂成▲同角△同飛成▲同玉△5六香▲4六玉△3五銀▲4五玉△7七角成▲3二飛△4二角。途中で△3五銀の王手を決めることで、先手玉を右辺に逃がさない。
△5七桂成
*「▲5七同角△同飛成に(1)▲5七同玉だと△5六香で先手玉は捕まるため、(2)▲3九玉と逃げて耐えるしかないと思います。以下△2七歩も▲同銀と辛抱します」(小林裕七段)
▲同 角 △同飛成
*17時頃、66手目△5七同飛成までの消費時間は▲豊島7時間30分、△藤井6時間46分(持ち時間各8時間)。
▲同 玉
*△5六香から先手玉は寄り形。終局が近づいてきたようだ。
△5六香
*▲4八玉には△5七角で、3九地点に引くことができない。
▲4六玉 △3五銀
*この一手で先手玉はより窮屈になる。以下▲4五玉に△7七角成で金を取れるのも大きい。
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*ここで豊島が投了した。終局時刻は17時10分。消費時間は▲豊島7時間32分、△藤井6時間52分(持ち時間各8時間)。第3局は10月30・31日(土・日)、福島県いわき市「雨情の宿 新つた」で行われる。
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*※局後の感想※
*感想戦は17時45分まで行われた。豊島は31手目▲7五歩が疑問手だったとの見解で、代えて▲8六歩であれば後手がやや無理を通すような攻めになるため、本譜よりは戦えたと調べられた。
まで70手で後手の勝ち

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