第9期リコー杯女流王座戦一次予選。本田小百合vs矢内理絵子

開始日時:2019/05/11 13:00
終了日時:2019/05/11 14:58
表題:第9期リコー杯女流王座戦一次予選
棋戦:女流王将戦
戦型:矢倉
持ち時間:各40分
消費時間:107▲40△40
場所:東京・AP西新宿
先手:本田小百合女流三段
後手:矢内理絵子女流五段

*里見香奈女流王座への挑戦を目指す第9期リコー杯女流王座戦(主催:株式会社リコー、特別協力:日本経済新聞社)の一次予選は、5月11日に新宿区「AP西新宿」で一斉に行われる。本局は5ブロック1回戦の矢内理絵子女流五段-本田小百合女流三段戦で、13時開始予定。
*持ち時間は各40分(チェスクロック方式)。
*使いきると1手60秒未満での着手になる。勝者は予選決勝で長沢千和子女流四段-脇田菜々子女流1級戦の勝者と対戦する。
*振り駒はと金が5枚で本田の先手となった。
▲2六歩
*リコー杯女流王座戦は株式会社リコーが主催し、日本経済新聞社が特別協力する棋戦。
*棋界初のエントリー制。アマチュアも東西で予選が行われること、将棋界では初めて出場選手に海外枠が設けられていることが特徴。
△3四歩
*◆矢内 理絵子(やうち りえこ)女流五段◆
*1980年1月10日生まれ、埼玉県行田市出身。(故)関根茂九段門下。1993年、女流2級。2014年、女流五段。女流棋士番号は16。
*タイトル戦登場は18回。獲得は女王2期、女流名人3期、女流王位1期の計6期。棋戦優勝は2回。
▲2五歩
*◆本田 小百合(ほんだ さゆり)女流三段◆
*1978年10月3日生まれ、茨城県水戸市出身。(故)佐瀬勇次名誉九段門下。1992年、女流2級。2012年、女流三段。女流棋士番号は14。
*タイトル戦登場は1回。
△3三角
*矢内の本年度成績は0勝1敗(0.000)
*通算成績は370勝243敗(0.604)
▲7六歩
*本田の本年度成績は0勝1敗(0.000)
*昨年度の成績は9勝10敗(0.474)
*通算成績は286勝263敗(0.521)
△4四歩 ▲4八銀
*矢内は2016年12月から19年3月末まで休場していた。藤井聡太七段が2016年12月24日にデビュー戦を指す直前から休場していたことになる。
*矢内は本年度から対局に復帰。女流王座戦では第4期以来の出場だ。
△3二金
*過去の対戦成績は矢内18勝、本田7勝。
*女流王座戦では第2期二次予選で対戦。その対局を制した本田は本戦も勝ち進んで挑戦者になった。
*【第2期二次予選矢内理絵子女流四段-本田小百合女流二段戦】
▲5八金右 △5二金
*休場前の矢内は振り飛車を多用していたが、本局は相居飛車戦を目指している。デビュー当初は居飛車党で、一時期しゃがみ矢倉をよく指していた。
▲4六歩 △6二銀 ▲4七銀 △5四歩 ▲5六銀
*本田は腰掛け銀で攻勢を狙う。
*左美濃から急戦にするつもり。
△4三金右 ▲6八玉 △5三銀 ▲7八銀
*△4二銀上から△4一玉~△3一玉とすれば、手順の組み合わせは違えど、よくある将棋。
△4一玉 ▲7九玉
*先手はこれで囲い完了。コンパクトで堅い。これが美濃囲いの長所。後手は囲い完成にまだ手がかかる。
△7四歩 ▲4八飛
*攻め駒を4筋に向ける右四間飛車。
△7二飛
*袖飛車が矢内の構想。
▲6六角 △4二銀上 ▲3六歩
*13時20分。消費時間はともに10分。ここで矢内が時間を使っている。
△7五歩 ▲同 角 △4五歩 ▲6六角 △4六歩 ▲3七桂
△3一玉 ▲1六歩
*渋い。△1五角の筋を消した。
*豊川孝弘七段なら「渋谷の将棋指し」というだろうか。
*しかし当日の対局場は普段の渋谷区「将棋会館」ではなく、新宿区の「AP西新宿」。
△6四銀 ▲3三角成 △同 桂 ▲6六歩
*△5五歩を避けた。ただ、後手の△6四銀が生きた意味がある。
△7六飛 ▲3五歩
*桂頭は後手陣の急所。ただ、3七桂の弱点でもあるので読みを入れた手だ。
*矢内の考慮中に14時となった。
△2六角
*14時2分の着手。△2六角までの消費時間は、▲本田26分、△矢内35分。
▲3八飛
*▲3四歩と取り込む手も考えられた。
△3五角 ▲8二角
*▲9一角成から▲7七香や▲8一馬を見せて、後手の攻めを催促している。
△9二香
*小技。▲9一角成のあと、結局▲9二馬と香を取られてしまうが、9二のほうが悪形だとみている。
▲9一角成 △5五銀 ▲6七銀引 △7一飛 ▲8二馬 △5一飛
▲8八玉
*後手から有効な手が難しいと見ている。
△6四歩
*■ネット解説■
*井出隼平四段>▲5六歩には△4七歩成▲同金△4六銀のつもりですね。
▲8三馬 △6五歩 ▲同 馬 △7三桂 ▲7四馬
*▲9二馬は香を取れるが、馬が遊ぶ。
△5三飛 ▲3六歩 △2六角 ▲2四歩 △6五歩 ▲2三歩成
*▲2三歩成は大きい手。
△同 金 ▲2七歩 △6六歩 ▲7六銀 △4四角 ▲4五歩
△同 桂 ▲同 桂
*ついに本田が目に見えるポイントを挙げた。
△5一飛 ▲7七歩
*完封勝ち。
△7一飛 ▲5六歩 △8五桂
*銀を助けるために△6七歩成▲同銀引△6六銀では、6筋の拠点が消えるのはあまりにもつらい。暴れるしかないところだ。▲8五同馬なら△5六銀がある。
▲同 銀 △6七歩成
*銀が8五に出張にいってお留守な6七に攻めかかる。▲6七同銀なら陣形が乱れる。
▲同 銀
*後手は△7四飛が切り札。
△6六銀 ▲同 銀 △同 角 ▲1五桂
*待望の一手。この手で後手陣が揺らぐ。
△2四金 ▲6七金 △4七歩成 ▲6六金
*決めにいく。
△3八と ▲4四歩 △4八飛
*合駒請求。飛車の王手で駒を使ってくださいという意味だ。
▲7八銀
*左美濃再生。
△4四金 ▲6二角
*飛車金両取り。これは厳しい。
△7四飛 ▲4四角成 △7三飛 ▲6五桂 △8三飛
*この手で100手に達した。△8三飛までの消費時間は、▲本田40分、△矢内40分。
▲5三桂左成△同 飛 ▲2二金
*▲5三同桂成は△4四飛成、▲5三同馬は△4五飛成と抜かれてしまう。
△4一玉 ▲5三馬
*▲2一飛の詰めろ。▲2二金と打っておいたので、先手の攻めが厚い。
△4五飛成 ▲2一飛
*この局面で矢内が投了した。終局時刻は14時58分。消費時間は、▲本田40分、△矢内40分。以下は△3一桂▲同飛成△同銀▲同金△5一玉▲5二銀までの詰み。
*勝った本田は長沢千和子女流四段-脇田菜々子女流1級戦の勝者と対戦する。
まで107手で先手の勝ち

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